夏野菜は体を冷やす?体を冷やす野菜と温める野菜の種類と根拠とは

体を冷やす野菜 温める野菜

女性を悩ませる冷え性。

特に体を冷やすとされる夏野菜は、冷え性さんには避けたいものの1つですよね。

しかし、この『夏野菜は体を冷やす』という定義について、疑問に思ったことはないでしょうか。

キンキンに冷やしたサラダを大量に食べると、体を冷やしてしまうのはわかりますよね。体温より低い温度の食べ物を摂ることで、体が内側から冷やされてしまうからです。

では、加熱か非加熱か関係なく、『野菜そのものが体を冷やす』となると、一体どんな成分の働きで体を冷やすのでしょうか?

今回は、『体を冷やす野菜・温める野菜』についての、科学的根拠を調べてみました。

「体を冷やす野菜・温める野菜」は、現代医学で定義されていない

夏野菜 体 冷やす

現代日本の医学の中心は西洋医学です。

そしてこの西洋医学の考え方では、『体を冷やす野菜・温める野菜』という分類は存在しません。さらに、西洋医学では冷え性という症状の定義も、はっきりとは決まっていないのです。

実は、『食べ物で体が冷える・温まる』という考え方は、中国医学やアーユルヴェーダなどの東洋医学によるもの。

また、マクロビオティックという食事方法でも、体を冷やす食材と、温める食材の分類がされています。では、『体を冷やす野菜・温める野菜』の分類は、どの考え方でも同じなのでしょうか?

ではまず、中国医学の考え方から、体を冷やす野菜・温める野菜を見ていきましょう。

中国医学とは?中国医学の考え方

伝統医学

中国医学とは、その名の通り中国で生まれた医学です。今から2000年前には医学として成立していたとされる伝統医療になります。この中国医学のベースとなっているのは、陰陽五行説と呼ばれる考え方。

陰陽五行説とは、『陰陽説』という考え方と『五行説』という考え方が組み合わさって生まれたものです。陰陽説とは、何事にも『陰』の側面と『陽』の側面があるという考え。

陰がいなければ陽は存在せず、陽がいなければ陰は存在しない……陰陽とは、コインの表と裏のような関係です。たとえば、男と女、太陽と月、光と影といった表裏一体のものは、陰陽の関係にあるとされます。

五行説とは、世の中の全てが木、火、土、金、水の5つの属性に分けられるという考え方です。季節、干支、色、そして食べ物といった様々なものが5つの属性に分けられています。また、人間の体液や臓器、感覚器官も五行に対応していて、体の中に存在しているのです。

中国医学では、陰陽と五行のバランスが整っている状態を、理想的な状態としています。そして、陰陽と五行のバランスが崩れると不健康になったり、病気になると考えられているのです。

食物を陰陽五行の考えから見ると

陰陽五行説から体を冷やす食材を考えるときは、『五性』という分類から判断します。五性とは体を温める・冷やすという働きを表したものです。この世の全ての食べ物は、寒性、涼性、平性、温性、熱性の5つの分類に分けられます。

寒性と涼性は体を冷やす性質を持ち、温性と熱性は体を温める性質があります。そして、平性は体を温めることも冷やすこともない性質を持っています。

では、陰陽五行をふまえた上で、中国医学の『体を冷やす野菜・温める野菜』の分類を見てみましょう。

寒性・涼性平性温性・熱性
生ショウガ人参乾燥ショウガ
きゅうり山芋ネギ
セロリじゃがいも玉ねぎ
トマトキャベツにんにく
ゴーヤもやしかぼちゃ
大根白ゴマニラ

中国医学では、「冬の根菜は体を温める」、「夏野菜は体を冷やす」という考え方はありません。食べ物が体を冷やすかどうかは、五行陰陽説から分類された『五性』によって決まるのです。

続いて、アーユルヴェーダの考えを見てみましょう。

アーユルヴェーダとは?アーユルヴェーダの考え方

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アーユルヴェーダとは、生命科学という意味を持つインド大陸の伝統医学です。その歴史は中国医学よりも古く、今から2500年前には成立したと考えられています。

アーユルヴェーダでは、生きているものは『ヴァータ(風/空)』、『ピッタ(火/水)』、『カパ(水/水)』と呼ばれる3つの要素からできていると考えます。

この3つの要素のことをアーユルヴェーダでは『ドーシャ(体質)』と言い、ドーシャのバランスが整っている状態こそ、健康であるとされます。

しかし、ドーシャのバランスは繊細なもの。ストレスや睡眠不足、偏った食事、季節の変わり目など、ちょっとしたことがきっかけで乱れてしまいます。

アーユルヴェーダでは、乱れたドーシャに対して食事を使った治療が行われるのです。

ドーシャの考えから見ると

アーユルヴェーダにおいての『体を冷やす野菜・温める野菜』は、ヴィールヤという概念から見ます。

ヴィールヤというものは、味が持つ効果です。アーユルヴェーダでは食材は甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味の6つの味に分けられ、それぞれ体を温めたり冷やしたりする効果を持っています。

味覚に対応したヴィールヤとは以下のようになります。

ヴィールヤ(効果)
甘味
酸味
塩味
辛味
苦味
渋み

ヴィールヤでは、中国医学における『平性』の味はありません。熱性と冷性を自分のドーシャに合わせて整える必要があります。では、ヴィールヤで野菜を分類するとどうなるのでしょうか?

本来であればドーシャごとに適した野菜がチョイスされますが、今回は温性、冷性の2つで分けてみましょう。

 食材名
温性人参、カボチャ、オクラ、唐辛子、大根、ショウガ、ネギ、ニンニク、ゴボウ
冷性緑色の野菜全般、カリフラワー、生野菜、生トマト、キュウリ

中国医学では、大根は体を冷やす野菜でしたが、アーユルヴェーダでは体を温める野菜になります。今回は温性と冷性の2つに分類しましたが、アーユルヴェーダでは、「この食材を食べると誰でも体温が下がる、または上がる」というものはありません。

それぞれの体質によって、体を冷やすことを目的にしながら辛いものを選んだり、体を温めることを目的にしながら甘いものを選んだりする必要があります。

アーユルヴェーダでは、『体を冷やす野菜・温める野菜』の分類は、中国医学よりも少し複雑なものになるのです。

マクロビオティックから見る食材の考え方

マクロビオティックとは?

では、マクロビオティックから見る、『体を冷やす野菜・温める野菜』はどうでしょうか。

マクロビオティックの考え方は、「根菜は体を温める」、「夏野菜は体を冷やす」という考えに近くなっています。中国医学やアーユルヴェーダよりもわかりやすいですね。

マクロビオティックは医学ではなく、食生活方法です。『体を冷やす野菜・温める野菜』については、中国医学ともアーユルヴェーダとも違う分類方法になります。

では、マクロビオティックは一体どのような基準で体を冷やす野菜・温める野菜を決めているのでしょうか?

マクロビオティックの理論とは?

マクロビオティックは玄米食と野菜食を中心とした、古き良き日本食が健康に良い、という考え方です。

マクロビオティックは、第二次世界大戦の前後に日本から生まれました。提唱者は桜沢如一という日本人。一度フランスとアメリカで広められてから、日本に逆輸入されました。

中国医学やアーユルヴェーダのような伝統医学ではありませんが、中国医学と同じく、『陰陽』という考えで食べ物を分類しています。

マクロビオティックのベースにあるのはナトリウムとカリウムのバランスです。ナトリウムを『陽』、カリウムを『陰』として考えているため、中国医学と同じ『陰陽』という言葉を使いながらも、理論はまったくの別物です。

また、マクロビオティックは陰陽にくわえて、『中庸』というものが存在し、食品を『陰』、『中庸』、『陽』の3つに分類しています。

マクロビオティックは食材で陰陽のバランスをとり、中庸の状態を目指すという考えがあり、陰陽のバランスが崩れることで、体調不良を引き起こすとされます。マクロビオティックの陰陽の判断基準は、以下のようになります。

 陰性陽性
環境暑い地域でよく育つもの寒い地域でよく育つもの
形と色
  • 背が高い野菜
  • 葉野菜
  • 細長い形状
  • 背が低い野菜
  • 根菜
  • 丸い形
大きさ大きいものは陰性小さいものは陽性
水分量水分の多いものが陰性水分の少ないものが陽性
  • 甘みが強いもの
  • 酸っぱいもの
  • 辛いもの
  • 苦いもの
  • 塩辛いもの
成分カリウムが多いと陰性ナトリウムが多いと陽性

基本的に、寒い地方でよく育つ小さめの根菜は『陽性』、暑い地方でよく育つ大きい葉野菜は『陰性』とされます。マクロビオティックの基準に当てはめると、体を冷やす野菜、・温める野菜の分類は以下のようになります。

陰性中庸陽性
なすキャベツにんじん
トマト大根ごぼう
わさび小松菜ふき
大豆クレソン
にんにく白菜れんこん
じゃがいも玉ねぎ 

マクロビオティックでは根菜は『陽』になりますが、上の表では大根が『中庸』に分類されています。これは大根に『陰』のカリウムが豊富なため、陰陽が打ち消しあったと解釈することができるのです。

マクロビオティックは中国医学やアーユルヴェーダとは違い、食事方法の一つでしかありません。そのため、指導者によって陰性の食品と陽性の食品の解釈にブレがあります。

『体を冷やす野菜・温める野菜』の定義に答えはない

夏野菜

これまでに中国医学、アーユルヴェーダ、マクロビオティックの3つの考え方から「体を冷やす野菜・温める野菜」を見てきました。しかし、どれも化学的な根拠が薄い上に結果はバラバラで、共通した答えはありません。

『体を冷やす野菜・温める野菜』について、明確な答えは世界中のどこを探しても用意されていないのです。

中国医学とアーユルヴェーダでは、独自の考え方による分類がありました。どちらも長い歴史の中で効果を確認されてきたものですが、根本的な定義からして、化学的な根拠がやや欠けています。現代の医学から見ると、民間療法に近いものと言えるでしょう。

マクロビオティックではナトリウムとカリウムによって体を冷やす野菜、温める野菜が分類されました。

栄養成分から見ると、カリウムには利尿作用があるため、尿と一緒に体の熱が逃げていくことが考えられます。

……しかし、カリウムの体温低下作用は一時的なもの。

排尿後、一時的に体が冷えても時間が経てば体温は元に戻ります。また、マクロビオティックでは体を温めるとされる『ゴボウ』は、カリウムが豊富な野菜。

一見、マクロビオティックには化学的な根拠があるように見えますが、『体を冷やす・温める野菜』についての根拠は薄いと言えます。

まとめ

『体を冷やす野菜・温める野菜』は、伝統医学や食事方法によって分類が違います。同じ野菜であっても、一方では体を温める野菜、一方では体を冷やす野菜になっていることも……。

一つだけ間違いないのは、『冷たいものは体を冷やす』ということ。冷えが気になる人は、サラダは冷やしすぎない、青汁や野菜ジュースには氷を入れないようにするなど、冷たすぎるものを摂取する回数を減らしましょう。

冷えを気にするあまり、食べる野菜を制限することで栄養が偏ってしまってはいけません。どの季節も色々な種類の野菜を食べて、栄養をしっかり摂るようにしてください。

野菜による体の冷えを気にするよりも、野菜から摂取できる栄養成分に目を向けるようにしましょう!

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管理人自己紹介

青葉しずく(アラフォー)

青汁の教科書を運営している管理者であり、日本一青汁に詳しい現役栄養士の青葉しずくです。

青汁は現代人に不足がちな野菜の栄養をしっかり補うことのできる数少ない健康飲料。一人でも多くの人に飲んでもらいたく、日々青汁の研究を続ける毎日です。

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